Accumu KCGグループ創立50周年

巻頭言

京都コンピュータ学院は,今年2013年,創立50周年の佳節を迎えました。また,京都情報大学院大学は,京都コンピュータ学院創立40周年の記念式典においてその開学宣言を行って以来,ちょうど10年となります。

京都コンピュータ学院は,初代学院長長谷川繁雄と現学院長長谷川靖子の二人が,いかなる権力や資本からも独立して開いた小さな私塾をその起源としております。1963年の創立以来,「時代を担う創造性豊かな情報処理技術者の育成」を教育理念に掲げ,卒業生は4万人以上と,IT業界における最大派閥とも言うべき多数の情報処理技術者を輩出し,国内外の情報化社会の発展に貢献してまいりました。また,京都情報大学院大学は,日本最初のIT専門職大学院として創設され,IT業界のリーダーとなるべき高度専門技術者を育成する大学院として高い評価をいただいております。

その一例として,昨年の週刊東洋経済の大学ランキングで,京都情報大学院大学は,全国の私立大学619校のうち,過去5年間の成長度においては日本一,財政余裕度では全国21位の栄冠を頂きました。このような光栄な評価をいただく中,この記念すべき年を迎えることが出来たのは,本学に集まり参じた卒業生や今の在学生と,何よりも本学を温かく見守っていただいた関係の皆様の賜です。

振り返れば,創立40周年の記念式典で京都情報大学院大学の開学を宣言した時,高等教育の権威クラーク・カーが定義したマルチバーシティ,すなわち,「現代の大学がユニバーシティを超える存在として,単なる学問・教育の場としての大学を越えた,複数の事業を行うマルチな実態になっている」という教育学理論を援用して,「インターネットによるeラーニングを活用して,国境を越えて複数大学がデュアルディグリーを出すなどしながら,一国の政府によって付与される学位授与権を乗り越えて,国境を越えたネットワーク・マルチバーシティになっていくだろう」との予測を述べさせていただきました。次の創立45周年の記念式典では,「本学は創立50周年を目前にして,自己を再定義するときに来ている」と述べました。

本年はドット京都が事業化されていく年です。本学は,京都府から唯一支持を頂いて,インターネットの[.kyoto]ドメイン管理事業主体として,一丸となって,サイバースペースにおける京都という街を創出します。これは,京都府,京都市,京都府情報産業協会などの協力を得て,本来の形での産官学共同の事業になっていくことを期待しています。そのサイバースペースにおける京都の街には,本学がサイバースペースにおけるネットワーク・マルチバーシティの種子をいくつか植えることになります。次の50年を待つまでもなく,あと10年程で,サイバースペースにおける京都の大学や大学外高等教育機関は,産官学の官や産の協力を得て,さらなる発展が見込まれると信じております。またサイバースペースにおける京都の「学」は,「官」や「産」の発展にますます寄与していくことでしょう。これから始まる新たな時代に向かって,私共は一意誠心努力を重ねていく所存です。

ドット京都が本学の本拠地京都での活動の深化を促す一方で,昨年4月に札幌,10月には東京に開設された大学院サテライトは京都以外にも,本学のDNAを広げていく試みです。札幌,東京での着実な成果を踏まえ,今後いっそうの展開を図ってまいります。

いつも本学を見守ってくださっている校友ほか関係者の皆様には,創立50周年の今年は本学の大きな成長と,未来への展望を感じ取っていただける年になることと存じます。6月1日に国立京都国際会館で記念式典を執り行うほか,1年にわたって各種講演会など記念行事を開催してまいります。ぜひ,ご参加ください。教職員一同,心よりお待ち申し上げております。

これからの50年に向け,皆様とともに本学を作り上げていければ,大変幸いに存じます。今後とも変わらぬご支援と,さらなるご指導をお願い申し上げます。

京都コンピュータ学院 京都情報大学院大学
統括理事長 長谷川 亘

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長谷川 亘
Wataru Hasegawa
  • 京都コンピュータ学院白河校出身
  • 早稲田大学文学士,(米国)コロンビア大学文学修士(M.A.)・教育学修士(M.Ed.)
  • 京都コンピュータ学院校友会会長
  • 京都情報大学院大学教授
  • 京都コンピュータ学院・ 京都情報大学院大学 統括理事長
  • (中国)天津科技大学客員教授
  • 一般社団法人全国地域情報産業団体連合会(ANIA)会長
  • 一般社団法人京都府情報産業協会会長
  • 情報システム学会日本支部(NAIS)理事
  • 韓国国土海洋部傘下公企業 済州国際自由都市開発センター政策諮問委員
  • 専門は教育行政・大学経営,テクノロジー援用教育

上記の肩書・経歴等はアキューム22・23号発刊当時のものです。