トップ » Vol.22-23 » 「.kyoto」いよいよ2015年から運用開始

Accumu Vol.22-23

「.kyoto」いよいよ2015年から運用開始

  関連事業の拠点としてサイバー京都研究所を開設
  新ドメイン「.kyoto」で京都ブランドを発信
「.kyoto」 京都を世界に発信 いよいよ2015年から運用開始

京都情報大学院大学(KCGI)は,京都府より唯一の支持を得て,2012年4月,地理的名称トップレベルドメイン(以下,地名TLD)「.kyoto」の管理運営事業者として,ICANN(Internet Corporationfor Assigned Namesand Numbers:インターネット上で使用されるドメインの管理を行う米国の非営利団体)に申請した。2013年7月,ICANNより,本学が「.kyoto」の管理運営事業者としての審査を通過した旨の通知があった。ICANNと本学との間でドメインの運用に関する権限委譲ならびに契約の締結を行い,いよいよ2015年から運用を開始する。「トップレベルドメイン」は,インターネットのアドレスを構成する末尾の文字列を指す。従来,一般用TLD(gTLD)は,「.edu」「.com」「.net」など22種類だったが,今般,新しいgTLDとして,地名や社名,一般名などを冠したものが加わることになり,全世界から約2000件の申請があった。地名TLDの申請には,その地域を管轄する自治体の「支持」が必要となる。「.kyoto」の管理運営事業者として京都府より唯一の支持を受けたKCGIをはじめ,日本からの申請は約70件で,そのうち「.kyoto」「.tokyo」「.osaka」などの地名TLDは8件。地名TLDの申請機関で,公益法人はKCGIだけだった。

地名TLDは,地名ブランドを世界に向けてアピールできることはもちろん,観光,産業,地域振興などさまざまな分野において大きなインパクトを与え,新しいビジネスチャンスが多種多様に広がることが期待されている。「.nyc」(ニューヨーク市),「.paris」(パリ),「.london」(ロンドン)といった世界の主要都市も地名TLDの活用を開始する計画で,都市間競争に先行する。

京都は従前より世界的ブランド力を持つ都市だが,公法人や地元企業・教育機関,京都府民が「.kyoto」を広く活用することで,京都全体の国際的な知名度・ブランド力のさらなる向上につながり,社会・経済活動の活性化を導けるだろう。民間営利企業ではなく,大学院を設置する学校法人(公益法人)が管理運営するドメインである「.kyoto」は,その活用を産官学合同の「公益事業」と位置付けている。「.kyoto」を取得しているもののみ登録・情報発信が可能なポータル・コミュニティサイトの構築や,産官学および法人同士のコラボレーションの促進,観光・映画やアニメ等コンテンツ産業への貢献に向けた各種関係事業など,さまざまな取り組みを関係機関とともに積極的に進めていく計画だ。

2013年7月,「.kyoto」と時を同じくして,米国・ニューヨーク市が「.nyc」というトップレベルドメインを取得した。ニューヨーク市長のMichael Bloomberg氏は,「われわれ独自のトップレベルドメイン『.nyc』を持つことによって,ニューヨーク市はデジタル分野の先端に立ち,市内の小規模企業には新たな機会が創造される。こうした企業は,世界で最も強力かつ最も名誉あるブランドの一つであるニューヨーク市と結び付いていることを示せるようになる」と述べた。「.kyoto」の真髄を代弁した形と言える。

「.kyoto」ユーザ対象セミナー

ユーザ対象セミナー
ユーザ対象セミナーには多くの一般の方々が聴講に訪れ,
「.kyoto」への関心の高さをうかがわせた

KCGIでは,「.kyoto」を活用した新規ビジネスの創造や京都社会の発展の可能性について,広く一般市民の皆様にご理解を深めていただくことを目的とし,2013年6月より全6回にわたるセミナーを開催した。

▽第1セッション(2013年6月9日,7月20日,8月7日)

KCGIの内藤昭三教授ら管理運営事業者側が,インターネットの歴史やドメインの構造,規模,現状などについて解説。引き続き,「.kyoto」について本学の取り組みも含め紹介した。参加者たちは,運営に至る今後のスケジュールについて熱心に質問された。

▽第2セッション(2013年9月29日,10月5日,11月6日)

「".kyoto"で拡がる可能性」と題して,「ドメイン販売の流れ」「ドメイン名と商標権」「ドメインビジネス」について紹介。ドメイン名取得の流れとしては,先行事例を示すファウンダーズプログラム,商標権者優先登録期間であるサンライズ等のプログラムがあり,それぞれの特色,期間等を説明した。また学外から,一般社団法人京都府情報産業協会相談役北山寛巳様,株式会社リクルートマーケティングパートナーズチームリーダー水野広土様,株式会社マッキャンエリクソングループアカウントディレクター近藤敏明様に,「.kyoto」に対する考えや提案をお話しいただいた。

▽第3セッション(2013年12月8日,2014年1月18日,2月12日)

管理運営事業者側から,ファウンダーズプログラムに関しての提案を行った。第2セッションに続き,学外から京都コンピュータ学院卒業生で一般社団法人京都府情報産業協会理事,株式会社日本電算機標準代表取締役の吉本光希様,独立行政法人国立京都医療センター医療情報部小森由宗様,京都府警察本部サイバー犯罪対策課情報セキュリティ対策係長近藤勇二様に,「.kyoto」への期待や取り巻く環境などについて語っていただいた。

▽第4セッション(2014年6月25日,7月26日)

「新gTLDの現状とTMCH」と題して,商標権者優先登録の考え方と,ICANNによる商標保護プログラムであるTMCH(TrademarkClearinghouse)について解説した。

▽第5セッション(2014年8月27日,9月27日)

限定100ドメインの最優先登録であるファウンダーズプログラムの申請方法と登録までの流れを紹介した。

▽第6セッション(2014年10月22日,11月29日)

商標権者が優先されるサンライズの申請・登録方法と,既存のgTLDでは取得することが困難だった「価値あるドメイン名」を得ることのメリットを紹介した。

「.kyoto」ドメイン販売について

※TMCH(Trademark Clearinghouse)とは,新ドメインのサンライズ(商標権者優先登録)期間を利用する際に,優先根拠となる商標権の整合性を確認するための商標保護プログラムで,ICANNにより事前登録が必須となりました。
*各プログラムの販売期間等については,ウェブサイト(http://nic.kyoto/)をご覧ください。