Accumu 京都マンガ・アニメ学会を設立

祝辞 吉田 力雄 様

一般社団法人日本動画協会 副理事長
株式会社トムス・エンタテインメント 執行役員
吉田 力雄 様

産学が協力し将来のアニメ産業担う人材育成を

一般社団法人日本動画協会 副理事長 株式会社トムス・エンタテインメント 執行役員 吉田 力雄

昨日(9月6日),映画監督の宮崎駿さんが引退を宣言されました。私は30年前,ルパン三世の『カリオストロの城』を宮崎監督と作ったということもあって,非常に寂しく感じています。アニメーションキャラクターは歳をとりませんが,それを作った人はそのようなわけにはいかないのだと,つくづく感じたところです。

1963年に鉄腕アトムがTVで始まってから50年が経ちます。私がアニメーション制作に携わっていたころは「アニメーション」という言葉が無く,ましてや海外展開などは考えられず,そのような中,ひたすらクリエイターや監督たちと,必死で制作してきました。そのような時代でした。

今,世界にいろいろな日本のアニメが広がっていますが,海外でのビジネスは非常に難しく,違法動画,海賊版など,多くの問題を抱えております。そのため,アニメの制作技術を磨く一方で,ビジネスマネジメント,ライツマネジメントをしっかり学び,身につけないといけない時代が来ています。人材育成の必要性は言うまでもありません。日本動画協会でも人材育成を強化する取り組みを進めているところです。

アニメ制作会社はこれまで,TVキー局がほとんど東京にある関係上,大半が東京に集中していました。ただ,ここにきてデジタル化,メディアの多様化の影響を受け,この京都,それに北海道,富山,四国など全国に広がり始めました。アニメ産業を地場産業の一つとして,地域が温かく見守っていただければと願っています。

「京都国際マンガ・アニメフェア2013」の中で,京都マンガ・アニメ学会の設立が宣言されました。アニメ産業にとって人材育成は不可欠ですが,業務をこなしながらの人材育成は,非常に難しいと言えます。学会の設立によって,産学が協力し,お互いの役割を担っていければ,将来のアニメ産業を担う人材がきっと育っていくことでしょう。学会には,人材ネットワークづくりの面でも大いに期待しています。