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kcg.eduカレーの作り方2025

東大路 百万遍

A picture by Aki Kishimoto

鍋は和平フレイズ製品の「32cmおおらか鍋」=1杯分15.8リットルを基本に材料の配分を記す。出来上がったカレーの総量は15リットル程度。使用する鍋の大きさ:容量が変わる場合は,適宜比例計算してください。

【材料】

  • 玉ねぎ 5㎏/バナナ 1㎏
    (ともに皮を剥いた状態での重量。玉ねぎは淡路産の甘いのは避けた方が良い。北海道産が良い。バナナは熟して甘いものが良い。若いと青臭みが強くなるので,黒くなった値下げ品でよい。)
  • 生姜汁 500cc
    (新生姜をジューサーで絞った汁。生姜を下ろしただけだと,その繊維が残るので,しぼり汁に限る。冷凍の絞り汁が市販されているので,それでも可。ヒネ生姜でもよい。生姜は,皮が香り高いので,皮ごとすりおろすこと。)
  • ニンニク
    (青森産を250g,すりおろしが良いが微塵切りでも可。)
  • オリーブオイル 600cc
    (純度100%のバージンオイル)
  • ローリエ(ローレル:月桂樹)の葉 30枚程度

炒めるとき,煮るときに,夫々,オリーブオイルを少々,ローリエの葉を入れる。ひとつの鍋に入るオイルの総量は,炒め油の分を含めて600ccに限定するが,少々多めでもよい。

  • 牛すじ肉 4kg(または,マトン4kg,または鶏肉4kg),牛肉は,京都銀閣寺の大西などの精肉店でブランド牛のすじ肉冷蔵品,または,米国からチルドで輸入されるアメリカ牛が良い。アマゾンなどの冷凍品は,値段はさほど変わらないが美味くない。マトンは京都の出町のミートショップ マイスターに,チルドで輸入されるマトン肉があることがある。鶏肉は,専門店でぶつ切りにしてもらうとよい。いずれも,肉は冷凍でない方が良い。
  • 鶏がらスープの素(化学調味料無添加)400g,または,20羽分程度の鶏がらやモミジから取ったスープと塩。

【バターチキンカレーの場合】

おおらか鍋一つ分において,オリーブオイルを500cc程度に減らして,無塩バターを200g追加。47%の生クリーム300cc追加,また,ヨーグルト500g程度追加。味見をして,適宜バターや生クリームを増量する。バターや生クリームは,多い目でも良い。

―スパイス―

ビーフ,マトン,チキン,ともにスパイスは下記の配分にする。バターチキンは,上述のように,オリーブオイルとバター,生クリーム,ヨーグルトを入れますが,バターチキンの場合だけ,カルダモンは少し減らしてもよいかもしれない。

  • クミン 100g
  • コリアンダー 100g
  • ウコン 50g
  • ガラムマサラ 50g
  • カルダモン 75gと最後の追加用 50g
    (バターチキンは最後の仕上げに25g)
  • スイートレッドペッパー 25g
  • カイエンペッパー 10g
  • ブラックペッパー 10g
  • フェンネル 25g

―以上を,調理直前に粉砕調理器で粉砕しておく。スパイスはすべて,同じ粒度で細かくして,均質に混合しておくのが良い。料理直前にスパイスミルですりおろし,香り立たせる。仕上げ用カルダモンも同様に,添加直前にすりおろすことを忘れないように。

【付け合わせ等】

リンゴ酢で漬けた新生姜を準備しておく。季節になると新生姜が出回るので,大量に購入して千切りにする。生姜重量に対して3%から5%程度の塩で「塩もみ」をして,出てくる余分な水分を捨ててから,市販の100%リンゴ酢をかける。ひたひたになるまでリンゴ酢を入れたら,タッパーなどで冷蔵保管する。カレーには,寿司に合う米酢や江戸前鮨の赤酢(酒粕酢)より,リンゴ酢がほんのり甘くて良いと思う。いずれも生姜と塩と酢だけで作る,砂糖は入れない。

らっきょうもよいが,らっきょう酢に砂糖は入れない。甘みを添加したいときは蜂蜜を入れる。らっきょう1kg,塩50g,純度100%の天然蜂蜜50ccから100cc程度で,リンゴ酢に漬ける。らっきょうは米酢が保守本流だが,カレー用にはリンゴ酢が良いだろう。

市販の福神漬けや紅ショウガやらっきょうは,砂糖の含有量がかなり多いので,KCGでは絶対に使わない。カレーの他に共に供する料理とともに,食卓の料理に一切砂糖を入れないようにすると,炒め玉ねぎとバナナ由来の自然の甘みを楽しめる。

【作業手順】

全ての作業を,合理的に進めること。使った食器や調理器具は,その都度,洗浄する。

  1. スパイス,オイル,材料は,それぞれの鍋用に別々に仕分けておく。スパイスはジップロックのLサイズに1鍋ごとに仕分けしておく。オイルも,個別容器に入れて,1番鍋用,2番鍋用,などと仕分けておくこと。
  2. 玉ねぎをフードプロセッサーでみじん切りにして,オリーブオイルで炒める。鍋ごと個別に炒めず,一度に10kg以上にする場合は,各鍋に配分されたオリーブオイルの量を勘案して,仕分ける。最終的に鍋の中に入る油脂の分量に気配りすること。
  3. バナナをフードプロセッサーですりおろして各鍋個別にジップロックに入れておく。
    ≪以上の作業で1時間程度≫
  4. 玉ねぎは,「焦がさないように注意」しながら,攪拌を継続する。加熱中は手を止めないこと。チョコレート色になるまで炒める。
    ≪玉ねぎ炒めの作業は1時間弱≫
  5. 炒めた玉ねぎを鍋に移す。鍋半分程度の水を加えて,すりおろしたバナナを入れて煮はじめる。
  6. 牛すじ肉を使う場合は,軽くゆでて灰汁や余分な油脂を取り,一口大に切り分けておく。牛ロース,マトンなどは切り分けるだけでよい。鶏肉は購入時に切り分けておいてもらうとよいだろう。
  7. 肉をニンニクとオリーブオイルで炒める。ニンニクは,250g全部をここで使ってもよいし,適宜使った後に残ったニンニクはそのまま鍋に入れてもよい。ローリエは,ここで肉と一緒に炒めてもよいが,葉を焦がさないように注意。葉はそのまま鍋にいれてもよいが,少量は肉とともに炒めたほうが良いと思われる。
    ≪肉の下処理と切り分けは,調理方法によって所要時間が異なるが,生肉を扱うので,短時間で済ませる。ヒンドゥー関係の人が参加するときは,牛肉の扱いは,マトン,鶏肉を全て終えてからにして,肉汁を混ぜないように配慮すること。≫
  8. 炒めた肉を,鍋に入れる。その際,鍋の容量を勘案して,水分の量を気遣うこと。玉ねぎやバナナ,それらを煮ている水と,肉の体積を合わせて,鍋から溢れない程度に配慮すること。
  9. スパイスを,たっぷりのオリーブオイルで軽く炒める。オイルで炒めることでスパイスが香り立つ。「焦がさないように注意」しながら,香り立たせる。香り立ったら,鍋に入れる。鍋の中のスープをフライパンに入れて,残さず鍋にスパイスを流し込むこと。
  10. 1時間以上煮るが,鍋を焦がさないように注意。
  11. 仕上げに,カルダモンの挽きたてを50g(または25g),入れて攪拌する。
  12. 1日置いた方が良いが,その場合は,再度過熱して食べる前に,仕上げのカルダモンを入れる。

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東大路 百万遍
Hyakumanben Higashiooji
  • 京都情報大学院大学教職員

上記の肩書・経歴等はアキューム16号発刊当時のものです。