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Accumu Vol.13

京都情報大学院大学 開学記念式典 来賓祝辞

同志社大学 学長 八田 英二博士

同志社大学 学長 八田 英二博士

本日の京都情報大学院大学開学式典のご開催,誠におめでとうございます。

近年,社会的要請として,高度な専門知識と能力を備えた職業人の育成が,高等教育機関に求められるようになってまいりました。国公私立を問わず,全国各地の大学において推し進められているロースクールやビジネススクール,アカウンティングスクールといった専門職大学院の設置が,その象徴的事例です。

こうした専門職大学院の開設がすすむ中,ここ京都の地において,日本最初のIT専門職大学院が開校される運びとなったことを,同じ京都に私学を構えるものとして,高く評価するとともに,心からお慶び申しあげる次第です。

昨今の厳しい競争的環境の中にあっても,それぞれの高等教育機関が,それぞれの建学の精神や独自性を発揮することによって特色のある教育事業を展開し,互いに切磋琢磨し,共存することは充分可能であり,また,そのことが地域の活性化にも繋がっていくものと確信しております。

創立41年を迎えた由緒ある「京都コンピュータ学院」を母体とした,このたびの新たな知的創造に向けた挑戦は,必ずや,全国の高等教育関係者の熱いまなざしと期待を集めることとなるでしょう。

最後になりましたが,開学にあたりいろいろとご尽力された関係各位に,深く敬意を表しますとともに,京都情報大学院大学のますますのご発展を祈念いたしまして,私のご挨拶とさせていただきます。


コロンビア大学教育大学院 名誉教授
インタラクティブ社 代表
デール・マン博士

コロンビア大学教育大学院 名誉教授 インタラクティブ社 代表 デール・マン博士

まずはじめにこのような祝辞の機会を与えていただいたことに感謝いたします。この祝辞において私は皆様と共に,160年前の過去と55年先の未来を眺望したいと思います。

1840年,いまだアメリカには公立の学校がありませんでした。ですから当時は,勉強をしたいと思う人が,両親から教育を受けることができたり,また職場において与えられた職務を遂行する上で必要な知識・技術を学ぶことができたなら,それはよほど運のよい人でした。

そうした教育制度の不在は,産業国家・民主国家を目指す国にとっては大きな問題でした。この時,ホレース・マンという一人の男がこの欠陥を認識し,米国に初めて公立学校の制度を生み出したのです。

その素晴らしい(経済)発展にもかかわらず,日本におきましても,人々が情報について学んできた方法と,実際のデジタル革命との間の大きな溝が問題となっています。本日,私たちはここに,その溝を埋めるために開設された,日本初の体系的かつ包括的な,そしてリーダーシップ育成を目指すIT専門職大学院「京都情報大学院大学」の開学を祝うべく集まったのです。

公立学校制度導入以前の米国のように,日本も会社が新入社員に情報技術を教授したり,社員がプロフェッショナルとして自主的に新しい知識や技術を修得しようとするのに任せるといった形式に頼ることもできるでしょう。確かに日本はそのような方法で世界第2位の経済大国にまでなったわけですが,今後は,もう少し別の投資方法を考えることが必要かもしれません。

さて,ここからは私たちの将来について少しお話ししたいと思います。もし仮に,今日の午後,あなたがクレジットカードを片手に買い物に出かけ,10万円のコンピュータを購入するとしましょう。そしてそのコンピュータが,仮に「一匹の昆虫の計算能力」を持っているとします。そして今からおよそ20年後の2025年,あなたが同じ10万円でコンピュータを購入するとします。そのコンピュータは,実に「一人の人間の知的能力」を持っていることでしょう。

では55年後の2060年ではどうでしょうか。この頃に同じ10万円で購入できるコンピュータは,おそらくその2060年現在に生存している「全人類の知的・計算能力」に相当する能力を持っていることでしょう。一台10万円のコンピュータがですよ!

ここで,あなたの孫の世代,すなわちわずか2世代後におけるこの「全人類の知的・計算能力」に相当する能力を持つ一台のラップトップコンピュータの,経済的意味合いを考えていただきたいのです。その社会的,道徳的,そして政治的影響とはいったいどのようなものなのでしょうか。

そのような未来は必ず訪れます。しかし現在,誰もその影響について深く考ようとはしておりません。また,その未来の世界に対応する手段やシステムを構築しようともしておりません。そして,私たちがその未来の世界に対応する手助けをすることについて,日本ほど優れた立場にある国は他にほとんど存在しませんし,京都情報大学院大学以上に新しい可能性を持った新しい世界の構築をリードするのにふさわしい機関も存在いたしません。

この機会に,私がこれまで仕事を通して設立に携わってまいりました機関や制度をご紹介したいと思います。

●米国政府のために設置された,教育問題研究所の全国ネットワーク

●グローバルな学習についてのあらゆる科学情報を記録したERIC情報システム

●学校教育の効果に関する66カ国国際会議

このうち一つを除きましては,すべて税金により賄われております。京都情報大学院大学と状況はやや異なると思われますが,日本での公営セクターと私営セクターの協力関係を考慮いたしますと,おそらく京都情報大学院大学の方がやや有利な状況にあるでしょう。

日本の文部科学省は「京都情報大学院大学」の設置について審議を行い,承認いたしました。そしてこれからも学校の質について監督するでしょう。しかしながら京都情報大学院大学は,民間企業がこの大学院から輩出される人材を必要とするがゆえに設立されました。日本全国で貴学の創設者たちだけが,それを実現するためのビジョン,勇気と敢為の気概を備えていたわけです。

私はここに,文部科学省の担当官の皆様の的確な判断,教員の皆様の深い専門的知識,学生の皆さんの勤勉さ,そして教授でありCEOである長谷川亘氏の,現在から未来にかけての日本の利益について考察する継続的な視野とリーダーシップを心より賞賛いたします。

このビジョンの現実化に微力ながら参加できたことを,私は大変光栄に思っております。そして何よりも,ここにいる大勢の大学院生の皆様,そしてその後に続くであろう多くの学生の皆様が,この日本をより強くし,そして世界をより住みよい場所にしてくれるであろうことを確信し,大きな喜びをかみしめております。

皆様のご静聴に感謝いたします。


Dr. Dale Mann
Professor Emeritus,
Teachers College and School for International and Public Affairs,
Columbia University
Managing Director, Interactive, Inc.

Congratulatory Remarks on the Occasion of the Inauguration of The Kyoto College of Graduate Studies for Informatics

Thank you for this opportunity. In my brief remarks, I would like to look back 160 years and forward 55 years.

In 1840, America did not have public schools. If you wanted to learn and you were lucky, your parents taught you or you got a job and learned whatever was necessary to do that job.

In 1840, that non-system was not good enough for a country that wanted to be industrial and democratic. A man named Horace Mann saw the gap and invented the public school system of the United State.

For all its accomplishments, Japan too has had a gap in how its people learned about information and the digital revolution. We are here to celebrate Japan's good judgment in closing that gap by inaugurating the first systematic, comprehensive and leadership-oriented graduate school of informatics, the KCGI.

Like America before the creation of the public school system, Japan could rely on employers to teach new workers about information technology or you could count on the professional determination of workers to learn new things on their own. This country has become the world's #2 economic super-power by doing just that but in the future, you may want to be more careful in your investments.

Now, let's look ahead. If you take a credit card this afternoon and spend 100,000 on a computer, that computer will have the calculating power of an insect's brain. If you take that same 100,000 yen and buy a computer in the year 2025 you will have a machine that has the same intellectual capability of a single human being.

Twenty years.

Fifty-five years from now, 2060, 100,000 yen will purchase a computer that will have the calculating power of the entire human race, alive in 2060, in massive parallel array. One, 100,000 yen computer!

What are the economic implications - for your grandchildren - of a single laptop that is as smart as all the people that will be alive in just two generations? What are the social consequences?

The moral consequences? The political consequences? That future WILL happen but no one is now thinking about the consequences. No one is trying to create the procedures, the systems to deal with that world. Few countries are better positioned than Japan to help us deal with that future and few institutions are better positioned than KCGI to lead in creating that new world with new possibilities.

It has been my privilege, over my career to be present at the founding of several institutions

・The national network of educational research laboratories for the American government

・The ERIC information system that tracks all US and worldwide scientific information about learning

・The 66-country International Congress for School Effectiveness

With one exception, those institutions were paid for with public taxes. The Kyoto College of Graduate Studies for Informatics is different and I believe, better because it is a partnership between the public and private sectors of Japan.

Your Ministry has reviewed and approved KCGI and it will supervise its quality. But KCGI was created because private industry needs the talent that will come from this place. And one family, the Hasegawas, have had the vision, the courage and the commitment to make this a reality.

I salute the Ministry officials for their good judgment, the faculty for its expertise, the students for their hard work and Professor and CEO, Wataru Hasegawa for his continuing vision and leadership on behalf of Japan and its future.

It is an honor to play a small part in making this vision a reality. And it is especially an honor to know that this room full of graduate students and the graduate students who come after them will make Japan stronger and the world a better place.

Thank you all very much.


ロチェスター工科大学 B・トーマス・ガリサノ情報科学部 学部長・教授 ホルヘ・ディアズ・エレーラ博士

ロチェスター工科大学 B・トーマス・ガリサノ情報科学部 学部長・教授 ホルヘ・ディアズ・エレーラ博士

本日,日本最初のIT専門職大学院「京都情報大学院大学(KCGI)」の開学を皆様と共にお祝いできることを大変嬉しく,また心から光栄に思い,一言ご挨拶申しあげます。

KCGIの設立は,41年もの歴史を持つ「京都コンピュータ学院(KCG)」を礎に成されました。KCGは1963年に創立され,日本最初のコンピュータ教育機関としてこれまで素晴らしい功績を上げてこられました。

さて,ここでロチェスター工科大学(RIT)と,B・トーマス・ガリサノ情報科学部(GCCIS)のお話をさせていただきます。RITは1972年に初めて,コンピューティングプログラムを開始いたしました。それ以来RITは,多岐の分野において最先端であり続けております。1991年には全米初のITの学部を,そして1995年には同じく全米初のソフトウェア工学部を創設いたしました。

GCCISは2001年7月1日に公式に開設されました。GCCISはRITにおける最新かつ最大の学部であり,学科としてはソフトウェア工学科,コンピュータサイエンス学科,IT学科,そして研究部門として応用コンピュータ研究所を有しております。

この分野では全米最初の学部にあたり,いわゆる「情報時代」と呼ばれる世紀とその未来のコンピュータ技術・ITへの需要に応えるものであります。この学部からの卒業生はわれわれの生活の場におけるIT環境をデザインし,実装し,管理します。実際,コンピュータの効果的な利用は現代社会の全ての面に影響を与えるものであります。

私どもRITとKCGIの関係は,私どもとKCGとが育んでまいりました友好関係と同じく,年を重ねるごとに深まっていくことでしょう。

現在,こうしてお話ししている間にも,私たちは新しいコンピューティング・情報科学の博士課程プログラムのデザインに日夜追われております。これもまた,コンピュータに関連する全分野にわたる総合的な教育法と,科学・工学に関連する社会の困難で複雑な問題を解決するための学際的な教育法の両方のアプローチからなる,全米初のプログラムとなる予定です。ですから,KCGIの卒業生たちをRITの博士課程に迎え入れる日が来ることを,われわれは今から楽しみにしております。

最後になりますが,私自身もKCGIの教授の一員になる予定であります。したがって,近い将来,KCGIの教室で皆様方にお会いできる日を心待ちにしております。

では最後にもう一度,日本最初のIT専門職大学院である京都情報大学院大学開学の喜びを皆様と共に分かつべく,本日お招きいただいたことに心から感謝いたします。

おめでとうございます!


Dr. Jorge L. D az-Herrera
Professor and Dean
B. Thomas Golisano College of Computing and Information Sciences
Rochester Institute of Technology

I am extremely happy and deeply honored to be here with you to witness the opening of the very first IT professional graduate school, KCGI, in Japan.

The foundation of this graduate school (KCGI) lies on the 41 years history of the original Kyoto Computer Gakuin (KCG). KCG was the first school in Japan to offer a computer science education in 1963, quite an accomplishment by itself.

Now, let me tell you about RIT and GCCIS. RIT started its 1st computing program in 1972. Ever since, RIT is a first in many areas. We created the very first IT BS degree in 1991 in the US, and the very first Software Engineering BS degree in the US in 1995.

The B. Thomas Golisano College of Computing and Information Sciences was officially launched July 1, 2001. The newest and largest college of RIT, the GCCIS includes the departments of Software Engineering, Computer Science and Information Technology, as well as the Laboratory for Applied Computing, the research arm of the college.

The creation of this first-of-its-kind college in the United States, comprehensively addresses the computing and information needs of today and of the future in this the so-called information-age century. Its graduates design, implement and administer the computing-enabled environments in which we all live. Indeed, the success of computing is reflected in all aspects of modern life.

The relationship between RIT and KCGI will grow like the way friendship between KCG and RIT has been growing over the years.

Currently, even as I speak, we are busy designing a new Ph.D. program in computing and information sciences. This will also be a first in the nation, with an intra-discipline design, involving all the areas of computing, but with an inter-disciplinary flavor for solving difficult and complex problems in society involving science and engineering. We look forward to be able to receive KCGI graduates to come to this new Ph.D. program at RIT.

In closing, I am happy to share with you that I personally will be a member of the faculty of the KCGI. And, I am looking forward to seeing you in the classroom here at KCGI in the near future.

Again, very many thanks for inviting me to be here to share the excitement of opening the first IT professional graduate school in Japan, KCGI! Congratulations!


モンゴル国 特命全権大使 ザムバ・バトジャルガル閣下
H.E. Zamba Batjargal
Ambassador of Mongolia in Japan

モンゴル国 特命全権大使 ザムバ・バトジャルガル閣下

このたびの「京都情報大学院大学」のご開学,誠におめでとうございます。

1963年に設立された京都コンピュータ学院は,日本最初のコンピュータ教育機関として,日本のIT/IS分野の発展に大きく貢献してこられたのみならず,国際的にも様々な貢献をされてきました。例えば,モンゴルビジネス大学と協力関係を築き,40台のコンピュータ等の寄贈を伴う「オープンジャパンセンター」の設立にご尽力いただきました。この機会に,学院長をはじめ,教職員ならびに関係の皆様方に深く敬意を表する次第でございます。

情報技術の飛躍的発展は,地域や国の境をなくすほどに至り,コンピュータは「現代人の生活の一部,最低限の教養の一つ」となっています。もしコンピュータ化した情報技術を完全に利用できれば,誰でも世界のどこからでも限りなく自由に交信し,望む情報を苦労なく獲得して,思いのままに使用することができるようになります。「京都情報大学院大学」には,この強力な情報技術を世界に広げるために,新時代に対応した教育を切り拓き,これまで京都コンピュータ学院で培われてきた輝かしい伝統と実績の上に,世界のIT分野の拠点となる個性豊かな大学院として発展されますよう心より祈念いたしまして,関係各位のご健康とご活躍を祈り,本日のお祝いの言葉といたします。

京都コンピュータ学院と京都情報大学院大学のパイオニア・スピリットが永久でありますように。

皆様のご静聴に感謝いたします。

ドウモアリガトウゴザイマス。


ガーナ共和国 特命全権大使 バフォ・アジェベゥワ閣下
H.E. Dr. Barfuor Adjei-Barwuah
Ambassador of the Republic of Ghana in Japan

ガーナ共和国 特命全権大使 バフォ・アジェベゥワ閣下

現在,ITが教育分野の最先端であることは,万人の認めるところであります。また,ITは世界経済の発展に非常に重要な役割を果たしています。日本最初にして唯一のIT専門職大学院である京都情報大学院大学の創立は,ITが現代生活において中枢的役割を果たしていることをはっきりと裏付けるものであります。

「コンピュータが普及する以前は,いったい何をどのようにしていたのだろうか」という疑問を抱くことがあります。発展途上国であるわれわれの間ではまた,「いつになったらIT革命の恩恵を十分に受けることができるのだろうか」と自問することもしばしばです。

後者の疑問に対する答えは,資力とITスキルを持つ人々が,どれほどの意志を持ってサポートする準備があるかにかかっているといえるでしょう。ITの普及がめざましい中,発展途上地域におけるITの利用は,多くの場合,不十分なものにとどまっています。

世界の貧困地域における人々の大部分は,まだITとその応用技術を利用することができません。ITは,初等教育に必ず盛り込まれるべきものです。また,ITの活用には,発展途上にある国々の文化の微妙な違い,特に言語の違いを包容すべきであることはいうまでもなく,こうした違いが反映されなければなりません。

ガーナは1991年以来,京都コンピュータ学院との友好関係を維持してまいりました。この関係により,ガーナの教育制度は多大なる恩恵を受けております。私は,今後,両者の関係がさらに深まり,その関係がわが国の学生の助けとなり,わが国の発展に貢献することを願っております。

京都情報大学院大学が,日本の友好の手をさらに遠くにまで差し伸べるための媒体となってくださることを信じております。


H.E. Dr. Barfuor Adjei-Barwuah
Ambassador of the Republic of Ghana in Japan

One needs no special tutoring to recognize that information technology is, at the moment, the dominant cutting edge in education. Information technology has also assured a prominent role in world economic development.

The establishment of KCGI, the first and only IT professional graduate institution in Japan, underscores the pivotal role IT currently plays in our daily lives.

Sometimes one may have to ask what did we do and how did we do it before computers became popular? It is a question those of us in developing areas ask very often, except that we also ask ourselves: When are we going to benefit fully from the IT revolution?

The answer to the last part of the question partly rests on the will and support that those who have the capacity and the knowledge in IT are prepared to dispense. As pervasive as IT has become, its applicability to the advancement of the developing world, in a large measure, is only marginal.

A greater proportion of people in the poorer areas of the globe are yet to be touched by IT and its applications. IT is yet to be an integral part of early child education; IT is yet to be applied in such a way as to reflect, let alone incorporate, the nuances of the cultures of the developing world, especially languages.

Ghana has had association with KCG since 1991, and this association has been very beneficial to the Ghanaian education system. It is my hope to further strengthen this relationship and to the widen the use of IT to support our learners and to aid our development. KCGI should be a vehicle for stretching Japan's hand of friendship even further.


ケニア共和国 特命全権大使 デニス・ノエル・オドゥヤ・アウォリ閣下
H.E. Mr. Dennis Noel Oduya Awori
Ambassador of the Republic of Kenya in Japan

ケニア共和国 特命全権大使 デニス・ノエル・オドゥヤ・アウォリ閣下

京都情報大学院大学の開学式典というおめでたいこの日に祝辞を述べる機会をいただけたことは,本当に名誉であります。

1963年の創立以来,京都コンピュータ学院が日本で,さらには世界のコンピュータ教育の発展の中で果たしてきた先駆者としての役割は,「画期的」としか表現のしようがありません。現在私たちが生活している世界における情報コミュニケーション技術(ICT)の重要性は否定できません。ですから,京都コンピュータ学院がその創立者たちの先見性によって,ICT革命の原動力の一つであり続けてきたことは,非常に喜ばしいことです。

ケニアのような飛躍的な経済発展を必要としている発展途上国にとって,ICTを取り入れることは,国の開発計画において必要不可欠です。しかし残念ながら,その重要性に関する深刻な認識とは裏腹に,多くの発展途上国は資源不足であり,またICTの急速な発展に足並みをそろえるにはまだまだ不十分な受容能力しか持っていないのが現状です。このように,発展途上国と先進国間のいわゆる「デジタル・デバイド」は,ますます広がり続けております。

この不幸な現実を理解し,拡大しつつある「デジタル・デバイド」に対する問題意識を持つ京都コンピュータ学院が,崇高な目的のもと,1989年に「海外コンピュータ教育支援事業(IDCE)」に着手された事実は,私たちを勇気付けるものでした。

私たちの国,ケニアがこのIDCEの受益国の一つであることをここで申しあげるのは光栄であります。このIDCEを展開している京都コンピュータ学院の関係者の皆様と,その活動を支えている共同後援団体の皆様に,この場をお借りして心から感謝の意を表したいと思います。

また,京都コンピュータ学院と共同でかけがえのない支援を行っていただいた同志社国際中学校・高等学校に,この場をお借りして感謝の意を表することをお許しください。

最後に,日本最初で唯一のIT専門職大学院である京都情報大学院大学の開学は,世界的パイオニアとしてのICT教育機関の一つである京都コンピュータ学院の輝かしい歴史と発展の中で,記念すべき新たな一歩であることを,確信を持ってここに表明いたします。

京都コンピュータ学院と京都情報大学院大学のパイオニア・スピリットが永久でありますように。

皆様のご静聴に感謝いたします。


ナイジェリア連邦共和国 臨時代理大使 グラント・エヒオブチェ氏
Mr. Grant O. Ehiobuche
CHARGE d'Affaires a.i. of the Federal Republicl of Nigeria in Japan

ナイジェリア連邦共和国 臨時代理大使 グラント・エヒオブチェ氏

京都情報大学院大学の華やかな開学記念式典の場に参列できることを大変光栄に思います。この大学院大学の開学は,京都コンピュータ学院が特筆すべき最先端の一流教育機関であることの証明です。昨年,私は京都コンピュータ学院の創立40周年記念式典にご招待たまわるという名誉を授かり,創立当初からのパイオニア精神に触れ,本日このような形で新しい大学院大学の誕生が祝福を受けることを確信しておりました。

まず,ナイジェリア政府と国民の代表として私をご招待してくださった長谷川靖子学院長,教職員の皆様,そして全ての学生の皆様に,心よりの感謝と祝福をささげたいと思います。皆様は,この素晴らしい教育機関の一員として,さらなる輝かしい革新の歴史を刻み,賞賛に値する目標に向かって,世界的なコンピュータ教育の発展を託されているのです。

オメデトウゴザイマス。

私が誇りに感じるのは,ナイジェリア大使館がこの賞賛すべき教育機関と提携を結び,その高貴な理想を共有し,デジタル・デバイドのないグローバル・ビレッジとして相互に文化交流を行っていることです。この革新的な学校が,IT分野においてアフリカの学生たちに貴重な鍛錬の場を提供することで,西洋とアフリカのデジタル社会における橋渡しとなることを願います。

さらに,優秀なナイジェリアの大学院生が最新鋭の専門知識・最先端の技術水準を身につけることができるように,京都情報大学院大学が慈悲深くも奨学金の機会を提供してくださるならば,この上ない喜びを感じることでしょう。

これまで幾年もの間,ナイジェリアと日本は他国が羨むような外交関係を築きあげ,近年には特別な協力調停へと結実し,両国政府の相互協力はますます深く,強くなっています。この相互調停によってもたらされる相乗効果は,政府,非政府,私立の組織にかかわらず広がり始めています。

ナイジェリアの連邦政府はコンピュータ教育の計り知れない重要性を認識し,自国における科学技術の発展への努力を惜しまず,これらの取り組みに対して施される協力であれば,いかなるものであっても予算を充当するでしょう。

ここで再び,わが大使館と京都コンピュータ学院の友情に対して深い感謝を表明する機会をいただきたく存じます。5年前には,学院より40台のコンピュータ設備をナイジェリアの技術学校に寄贈していただきました。ナイジェリアの科学技術系基幹大学と京都コンピュータ学院が公式な協力関係を樹立することにより,われわれが共に育んできた関係が飛躍的に前進しようとしていることを,繰り返し申しあげます。このように,われわれは,アフリカで最も人口の多いナイジェリアにおいて,より効果的かつ確実にコンピュータ・リテラシーを普及させることができるでしょう。

こうした有益な行為は,コンピュータ技術のノウハウを必要とする学生たちにとって,疑うべくもなく大きな手助けとなります。それだけにとどまらず,彼らは知的素養をも身に付けて人材育成の一助となり,ナイジェリアの教育全般の発展にも大きく貢献することとなりました。このように,持続的に発展し成長を遂げたアフリカ大陸全体のIT文化に対する多大な貢献によって,このパイオニア精神に満ちた教育機関,京都情報大学院大学と京都コンピュータ学院は栄誉を受けると確信いたします。

最後に,ナイジェリア大使館の継続的な協力を堅くお約束し,新たに誕生した喜望峰,京都情報大学院大学に対して,崇高な目標の実現を願います。

アリガトウゴザイマシタ。


スリランカ民主社会主義共和国 特命全権大使 カルナーティラカ・アムヌガマ閣下
(代読 二等書記官 ニルマラ・パラナウィターナ氏)
H.E. Mr. Karunatilaka Amunugama
Ambassador of the Democratic Socialist Republic of Sri Lanka in Japan

スリランカ民主社会主義共和国 特命全権大使 カルナーティラカ・アムヌガマ閣下 (代読 二等書記官 ニルマラ・パラナウィターナ氏)

この度は,41年の歴史を誇る京都コンピュータ学院による,日本最初で唯一のIT専門職大学院である「京都情報大学院大学」の開学を皆様とお祝いできることを大変嬉しく思います。スリランカ大使カルナーティラカ・アムヌガマ閣下は,残念ながら公務のためこの式典に参加できませんので,代わりまして私が,この場をお借りいたしまして「京都情報大学院大学」のお祝いとご挨拶を申しあげます。

ご列席の皆様

この喜ばしい開学記念式典におきまして,KCGグループの皆様に一言ご挨拶申しあげます。

皆様も既にご存知のように,京都コンピュータ学院は,1963年の創立以来これまで,ハードウェア技術,ソフトウェア技術,アートとデザインの分野にわたり,教育プログラムの開発に成功を収めてこられました。その過程において,京都コンピュータ学院は日本国内での教育の拡充を成し遂げただけでなく,世界の国々との国際的な連帯を拡大してこられました。これからも,京都コンピュータ学院と友好関係にある国々と同様に,京都コンピュータ学院とスリランカとの友好関係の維持発展を大いに期待いたしております。

KCGグループの将来のご多幸をお祈りし,本日私どもスリランカ大使館をお招きくださった長谷川靖子理事長の温かいお気遣いに心よりお礼申しあげます。

どうもありがとうございました。


H.E. Mr. Karunatilaka Amunugama
Ambassador of the Democratic Socialist Republic of Sri Lanka in Japan

It gives me pleasure to be present at this auspicious occasion of the opening of The Kyoto College of Graduate Studies for Informatics: Japan,s first and the only Professional Graduate School of Information Technology, which prides 41 years of Kyoto Computer Gakuin history.

The Ambassador of Sri Lanka His Excellency Karunatilleke Amunugama is unable to be present at this occasion this evening due to an important official engagement. I would however like to take this opportunity to congratulate and convey his best wishes to the Institute.

Ladies and Gentlemen,

I would like to say a few words about the KCG group at this opening ceremony.

As we all know, the KCG group has integrated programmes in the fields of hardware engineering, software engineering, art and design since 1963 with success. They have not only been able to strengthen themselves locally throughout the years, but also have managed to expand their international ties with countries around the globe. I would like to see the institute continuing and maintaining their relationship with Sri Lanka as well as other nations in the years to come, as it will contribute immensely to the enhancement of our bilateral relations as well as to the developments in the field of Information Technology.

I would like to wish good luck for the KCG group again for their endeavours in the years to come and thank Madame Yasuko Hasegawa, Chairperson of the Board of Trustees, The Kyoto College of Graduate Studies for Informatics for her kind invitation extended to the Sri Lankan Embassy.

Thank you.


在大阪ベトナム社会主義共和国総領事館 領事 ブー・ゴック・ミン氏
Mr. Vu Ngoc Minh
Consul of Consulate-General of the Socialist Republic of Viet Nam in Osaka

在大阪ベトナム社会主義共和国総領事館 領事 ブー・ゴック・ミン氏

この度は,京都情報大学院大学のご開学,誠におめでとうございます。

開学記念式典を迎えるにあたり,心よりお祝いの言葉をお贈りいたします。

さて,ベトナムという国は何世紀にもわたり長く外国の侵略に見舞われ,それに抵抗を繰り返し続ける歴史がありましたが,現在,私どもの国は平和を実現することができました。

現在のベトナムは人口約8千万人でその75%を農業人口が占めています。長い戦争により中高年の人口が少なくなり,労働者の60%は若者であります。

政府は2020年までに近代的な工業国になるというスローガンを掲げています。そのためには世界の国々との友好関係を広げるとともに工業化への国際的な協力を必要としています。

ベトナムの若者は,しっかりとした知識を持って国を建設運営していますが,コンピュータ技術の導入やIT分野の発展は重要な課題となっております。しかしながらベトナムは,まだそれらを導入し始めたばかりであり,その技術や運用の水準は,まだ低いものであるのが現状です。

今後,私たちは世界各国の先進技術を学び,それをベトナム国内で普及させていかなければならないと考えております。そこで将来,貴学との交流を促進し,学生や卒業生がベトナムのIT化への協力者となってくだされば,大変素晴らしいことだと思っております。

最後になりましたが,これを機に貴大学院の一層のご躍進をお祈り申しあげ,私のお祝いのご挨拶とさせていただきます。


タイ王国大阪総領事館 領事 モンコン・シンソンブーン氏
Mr. Mongkol Sinsomboon
Consul of Royal Thai Consulate-General in Osaka

タイ王国大阪総領事館 領事 モンコン・シンソンブーン氏

本日は記念すべき京都情報大学院大学開学記念式典,誠におめでとうございます。心からお祝い申しあげます。

現在,ITの進歩は社会の発展に欠かせないものとなっております。貴学院は一貫してIT分野の先駆者として,偉大な歴史を築いてこられました。1963年に創立された国内最初のコンピュータ教育機関として,3万6千人を超す有能な卒業生を輩出してこられたことは,周知のとおりです。また,ここに開学された京都情報大学院大学は,日本で最初のIT専門職大学院と伺っております。専門的な知識を修得し実務に精通した人材の育成という,時代のニーズに応えた理想の大学院像に期待しております。

貴学院の特筆すべき事業の一つに,「海外コンピュータ教育支援活動」があります。アジア・アフリカ・ヨーロッパ・南米の国々へ,コンピュータの寄贈とともに,コンピュータ教育担当者の育成に貢献してこられた国際活動に敬服いたします。その中で,タイ王国は最も長い期間,貴学院の「海外コンピュータ教育支援活動」の恩恵に浴してまいりました。1989年に開始された当プロジェクトはタイ国発展の礎となっております。また1996年からは,新たに寄贈されたノート型パソコンを載せた大型車がタイ国内の学校を巡回しており,コンピュータの普及に大きく貢献しております。貴学院の活動は高く評価され,1997年,タイ皇太子からの表彰となって輝いております。

このたび開学された京都情報大学院大学は,長年にわたり培ってこられた貴学院の理念と実践を受け継ぎ,新世紀にふさわしい新たな歴史を築かれることを確信いたします。最後に貴学院のますますのご繁栄と,京都情報大学院大学のご発展を心より祈念申しあげ,私のスピーチとさせていただきます。ありがとうございました。