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Accumu Vol.2

今後の情報処理技術者に求められること

関西ソフト・エンジニアリング株式会社

取締役システム部長 木村 嘉宏

情報処理技術者をとりまく環境

関西ソフト・エンジニアリング株式会社

社会において高度情報化が日々進展しているなかで,そのシステムづくりは,ますます大規模化,戦略化が進み,産業審議会が指摘しているように,情報処理技術者の量的・質的な不足が深刻化しています。

企業にとって情報は資源であり,ヒト・モノ・カネに加えて,大切な経営資源としての役割を担うようになりました。このような高度情報化社会にあって,情報資源を自由自在に加工し,経営に活用させてゆくシステム・エンジニアの役割は,たいへん重要になってきました。

競争優位に立てる高度な情報システムを構築したいが,自力開発は,むずかしい。そこで,ソフト・エンジニアリング会社(システム・インテグレータ)に開発を依頼する……こういったケースが,このところ増えてきています。なぜでしょうか?

システム・エンジニア要員の絶対的な不足と専門教育のむずかしさが,大きな障害となっているのです。

SIS(戦略情報システム)を構築できるシステム・エンジニアには,多面的な知識と経験が求められますが,これらは一朝一夕で身に付くものではありません。マネジメントや業務知識,そして情報処理技術等に精通するには,それなりの時間が必要です。

技術にプラスアルファを身に付けた,一流のSE(システム・エンジニア)に求められるものはなにか? ふだんの心がけで大切なことはどのようなことか,もう少し詳しく述べましょう。

良いSEに望まれる資質とは

それでは,SEになるために日頃どのような事を心がければよいのでしょうか。

〔SEのための12章〕

1,好奇心に満ちていること

 自分をとりまく環境に絶えず好奇心を持ち,あらゆる変化に対して素早く反応する。

2,手段と目的を明確に区分できること

 手段は目的達成のために存在しているのであり,あるレベルの目的は,より高度な目的達成のための手段であることを明確に認識する。

3,必然と偶然の見分けができること

 発生した事象が必然なものか,偶然なのかをできるだけ短時間で見極める。

4,創造力に秀でていること

 種々の場面で想像力を存分に発揮して,創意工夫を凝らす。

5,責任感と執着心に富むこと

 困難な状況にあっても,責任感と執着心を持って目的をやりとげる。

6,理想に燃えた楽観主義者であること

 物事は,必ず理想に近い形で実現できるという信念を持って,物事にあたることができる。

7,熱意に満ちた表現ができること

 まわりのひとびとを心から共感させるような,熱意に富んだ表現法を身に付ける。

8,コミュニケーション能力に秀でていること

 相手の意図を的確に把握し,自分の意思を正確かつ迅速に伝える。

9,言葉を大切にすること

 全ての思想は言葉にもとづいており,言葉によって人は行動するので,言葉を大切に,正確に使う。

10,柔軟な思考ができること

 物事に捉われない自由な発想ができ,しなやかで融通に富んだ思考をめぐらす。

11,性善説にもとづぐ協調性に富むこと

 相手の欠点よりも長所をひきだして,誰とでも仲良く明るく仕事ができる。

12,スケッチが上手なこと

 自分の意図や相手の意思を素早くスケッチで的確に表現する。

SEの仕事の基本はコミュニケーション

こうして見てみますと,SEの仕事は,ある意味ではコミュニケーションにつきると言ってもよいでしょう。SEの仕事をスケッチしてみましょう。

ユーザのニーズを的確に捉え,決断とフィードバックをくり返しながらユーザのイメージをカタチにしていく。しかも,それをチームで行う。こうしたコミュニケーション能力が問われる仕事と言えるでしょう。

また業務知識とコンピュータプロダクトの技術はもちろん,これらを融合してユーザに的確な問題提起やコンサルテーションを行える能力が必要となります。同時に,その問題解決に向けてのビジョン作りをユーザと共同で行うわけですから,コーディネーション能力も求められます。そのベースとなるスタンスがコミュニケーションなのです。

さらに今後は,システム・インテグレーションのできる能力が必要となってきています。それぞれの分野での専門家が参加し,ユーザの優位性を創造するシステムを統合するのもやはり基本はコミュニケーションにあると言えます。

先のSEのための12章,あなたがイエス!と言えるのはいくつありますか?。

ひとつでも,ふたつでもあてはまる項目があれば大丈夫,あとは人とひとをつなぐコミュニケーションカを身に付けて下さい。

関西経済圏にソフト・エンジニアリング会社が誕生

さて,今関西が新しい時代に突入しています。国際花と緑の博覧会から関西新空港の開港,関西文化学術研究都市,……21世紀に向けて世界に飛躍する関西経済圏にあって,コンピュータシステムの開発需要は一段と高度化,多様化しながら増大しています。この大きく伸びる関西の企業ニーズに応えて,平成元年12月22日,関西ソフトーエンジニアリング(株)が誕生しました。

当社は,コンピュータの日本ユニシス(株)と関西の有力企業であるグンゼ(株),三洋電機(株),そして情報処理技術教育の専門学校であります京都コンピュータ学院の出資を得て設立されたソフト開発専門会社です。

関西の地場産業として,関西の産業振興および産学協同による情報処理教育の発展向上に貢献するのが私達の使命と考えています。

システム・インテグレータを目指して

今後の情報処理技術者に求められるものは,情報処理システムの企画~開発~運用と幅広く,ますます高度化,多様化し,このために必要な知識・技術・能力は広く,かつ深くなってきています。

こうしたなかで,私達はシステムの企画・立案からソフト開発まで,あらゆるニーズに応える総合的なコンピュータシステム・エンジニアリングを推進するシステム・インテグレータを目指しています。

企業にとっての資源はヒト・モノ・カネと情報であるように,システム・インテグレータとしての資源は,頭(アイデアを出す),心(マインドを持つ),体(行動を起す),そして情報(コミュニケーション,インフォメーション)であるという思いのもと,テクニカルスキルとマインドスキルとをもった,バランス感覚のあるSEを育成するのが当社発展の基礎と考えています。

関西ソフト・エンジニアリング株式会社

SEを超えた新「SE」集団を形成し,新しい「文化」を創りながら21世紀を目指して新たなスタートを切った関西ソフト・エンジニアリング。

まさに『夢・未・来・出・発』なのです。