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Accumu 記念行事

若手ゲームプロデューサーズ!ゲームとITの未来

2013年7月15日

「ゲームとITの未来」をテーマに現役ゲームプロデューサー3名が意見を交わした
「ゲームとITの未来」をテーマに現役ゲーム
プロデューサー3名が意見を交わした

トークライブ「私とIT」シリーズの「若手ゲームプロデューサーズ!ゲームとITの未来」が2013年7月15日,京都コンピュータ学院京都駅前校で,オープンキャンパスと同時開催された。ゲストはいずれも大手ゲーム会社のプロデューサーとして第一線で活躍中の,株式会社コナミデジタルエンタテインメントの石原明広さん(代表作『NEWラブプラス』),株式会社スクウェア・エニックスの門井信樹さん(同『LORD of VERMILION』シリーズ,『ガンスリンガーストラトス』),株式会社カプコンのAさん(氏名非公表)の30歳代3人。3人は「自分の得意なものを,いろいろなことに挑戦しながら見つけ出してほしい」と学生にメッセージを送り,「京都コンピュータ学院は50年続いている素晴らしい学校。この学校で,ゲーム業界で活躍したいという共通の志を持つ者同士が協力し,学び合い,作品をつくってみてほしい」と語りかけた。トークライブの模様は,インターネットでライブ配信された。

ゲーム業界を目指したきっかけなど

〈石原さん〉大学では考古学を専攻しましたが挫折し中退,その後映画『ジュラシック・パーク』を見てCGに魅せられ,モノづくりの道を目指すようになりました。専門学校に入り直しコンピュータを学びましたが,当時はコンピュータが高価で,アルバイト漬けになっていたのも今では良い思い出です。ゲーム業界を選んだのは,映画のように一方通行ではなく,自分が作ったものを人が実際に動かすことによって楽しんでもらえる点に魅力を感じたから。現在勤務する会社にはアルバイトとして採用され,正社員,プロデューサーと階段を上りました。

〈門井さん〉ファミコン世代でしたが,親からは「ゲームはやってもいいから,家庭用ゲーム機ではなくパソコンでしなさい」と言われていました。中学生のころは『新世紀エァンゲリオン』などアニメにも夢中で,将来は漠然とマンガ,アニメ,ゲームいずれかの仕事に就きたいと思っていました。大学では心理学を専攻。マンガ,アニメ,ゲームのうち,音楽や映像,インタラクティブ性など様々な要素が複合しているゲーム業界で働こうと決め,複数の企業を受けましたが失敗。今の会社にはアルバイトとして採用され,契約社員を経て,正社員になりました。

〈Aさん〉中学生のころにようやくパソコンが一般家庭に普及し始め,友人同士でゲームを楽しんでいました。当時は「ゲームを作る」という意識は無かったのですが,あるゲームショーを見る機会があって,それから「モノづくり」の一つとしてゲームに向き合うようになりました。専門学校で学んだ後に今の会社に就職し,プランナー,アシスタントプロデューサーを経て,現職に就いています。

プロデューサーの仕事とは

〈Aさん〉制作現場のボスはあくまでディレクター。一方,プロデューサーは,どんなゲームを作るのかを立案したり,そのゲームを,PR方法を含めどう売っていくのか計画を立てたりする仕事です。私の会社では,いきなりプロデューサーになるということはなく,プランナーとか,プログラマとか,専門分野を体験してから,というパターンがほとんどです。

〈石原さん〉「もの(ゲーム)を売るためには何でもする」といった感じ。ハリウッドの映画会社の例で説明すると,ディレクターはとにかく「良い作品を作る」のが使命。一方のプロデューサーは,スタッフの中で唯一,編集権を握っている。つまり,その映画をヒットさせるためにストーリーさえも変えられる権限があるということです。プロデューサーは常に,市場の動向を見極めていなければなりません。トレンドやブームを作り出してやろうという気概と,どうすれば流行するだろうという戦略立案能力も求められます。

〈門井さん〉半クリエイター,半ビジネスマンのような感じ。販売戦略を見据え,制作現場に軌道修正を求める役回りもあります。ゲームは面白ければ売れるのかというと,そうはいかないのが難しいところ。クリエイターとしての視点を持ちながら,市場を常に観察し,行動を起こすというやりがいのある仕事です。

ゲーム業界を目指す
学生へのメッセージ

〈門井さん〉とにかく様々な分野にチャレンジしてほしいです。専門分野を掘り下げつつ,さらにビジネス感覚を持ったプロフェッショナルとして,技術者として自分を磨いてください。ITの進化でサービスは多様化しています。これらのサービスは人間の本質・欲求を満たすために生まれてきたものばかりです。いろいろなことに興味を持ち,目を向けていれば,自分がどのような仕事で活躍していけるか,見えてくるはずです。

〈Aさん〉自分は何が得意なのか分かっていないケースが多いと思います。得手,不得手を見つける場所が学校。決して卒業が目的ではありません。コンピュータ,ITが当たり前のように存在し,さらにどんどん普及していくという大変面白い時代です。ITを勉強することは人生にとって必ずプラスになります。ましてやいろいろな学校が生まれ,立ち消えていく中で,50年にわたって実績を重ねている京都コンピュータ学院で学ぶことは,大いに意義があるでしょう。情報を鵜呑みにすることなく,見極める目を養いながら,ゲーム業界で活躍されることを祈っています。

〈石原さん〉作りたいゲームについて熱く語ることが,ゲーム制作者になるための近道です。大手のゲーム会社への就職は倍率が高く難関ですが,中小のメーカーは何千社もあるので,まずそこに入って自分を磨けばいい。あふれる情報に流されず,自分の価値観を見出し,自分を知って,フタをせずに様々なことにチャレンジしていってほしい。何事もあきらめず,常に前向きなら,必ず道は開けます。