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Accumu Vol.21

KCG「コンピュータ博物館」構想

  博物館めぐり 鉄道博物館と計算機博物館
  近畿産業考古学会 KCGコンピュータ博物館 見学記

新たにMZ-80Kが「技術遺産認定機器」に
KCG博物館で5機種目「コンピュータ博物館」実現へ弾み

KCG京都駅前校本館で保存展示されている「MZ-80K」が2013年3月一般社団法人情報処理学会から「情報処理技術遺産」の「認定機器」に選ばれたKCG博物館からは5機種目の認定となる日本最古のコンピュータ教育機関で創立以来50年の永きにわたって教育実習研究で使用してきた過去のコンピュータ等を保存しているKCGは「コンピュータ博物館」構想を進めているが5機種目の認定は構想実現に向けた弾みとなりそうだ

シャープMZ-80K


シャープMZ-80K(2013年3月認定)

MZ-80Kは初期の代表的な8ビットパーソナルコンピュータの機種の一つで1978年にシャープにより開発され技術者トレーニング用のセミキットの形で製品化されたオールインワン設計で本体ディスプレイキーボードテープレコーダを一体の構造としたCPUにはZ80を使用RAMを20KB搭載しキーボードは角型スイッチをマトリクス状に配列したディスプレイは10型CRTで40×25文字のテキストグラフィックキャラクタを使用した80×50ドットのセミグラフィック表示が可能であったBASICインタプリターをROMに搭載せずにカセットテープからRAMに記憶させる方式(「クリーンコンピュータ」方式)を採用し自社のみならずサードパーティからも提供されるOSや言語が利用可能であったプログラムにより時刻表示や3オクターブの音を出すことが可能であった初期の8ビットパソコン御三家の一つとして人気を博し後継機とともにMZシリーズを形成した



TOSBAC‐3400(2009年3月認定)

OKITAC 4300Cシステム(2009年3月認定)

NEAC‐2206(2011年3月認定)

NEAC S-100システム(2012年3月認定)

情報処理学会は「次世代に継承すべき重要な意義を持つ技術や製品の保存と活用を図る必要がある」との考えから全国各地にある貴重なコンピュータ機器の保存に力を入れ2009年に認定制度を設けた

KCGは「国内屈指の貴重なコレクションを有している」との理由で2009年に同学会から「分散コンピュータ博物館」の全国第一号認定を受けたそれを機にKCG京都駅前校には同学会「情報処理技術遺産認定機器」第一号の「OKITAC 4300Cシステム」や「TOSBAC‐3400」などの機器が学内の別の校舎から次々と運び込まれ日本の高度成長を支えた技術を間近で知ることができる場として着々と整備教育の場と共生している学生やコンピュータ関連企業関係者らをはじめとするKCG博物館への来場者は年々増加している

コンピュータ技術の急速な進化に伴い情報処理機器の変遷も急KCGでは十数年前から次世代に継承すべき重要な意義を持つ技術や製品の保存と活用を図る必要があると認識し博物館構想を温めてきたKCGはこれまで教育に活用した汎用コンピュータミニコンピュータオフィスコンピュータパーソナルコンピュータ周辺装置などを多数保存しているわが国が技術立国として今後も世界をリードしていくことが期待される今こそ技術の歴史を顧みることができる博物館実現に向けて大きな一歩を踏み出す時と意欲を新たにしている

KCGは京都駅前校をわが国が誇る「コンピュータ博物館」として認可が得られるようまた運営のための財団法人設立が実現できるよう国や京都府京都市学会教育界企業など関係者に支援と協力を呼び掛けている

KCGでは「コンピュータ博物館」実現整備運営に対する寄付金また歴史的にも貴重なコンピュータや関連資料(カタログ やマニュアル写真等)の寄贈を広く募集しています